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エグサポナレッジ

秘書の真の価値とは 

「エグゼクティブ」とは、社長や役員など上級管理職を意味し、また、「エグゼクティブサポート」は、経営層の意思決定や行動を支え、組織の戦略的推進力を高める“支援機能”を意味します。それを担う人材は多岐にわたり、組織によってその構成は異なります。たとえば次のような職種が、エグゼクティブサポート人材に該当します。

  • 経営企画室のメンバー
  • CEO直轄のプロジェクトメンバー
  • CEO直轄の新規事業開発チームのメンバー
  • コーポレートガバナンス室のメンバー
  • 社長室・秘書室のメンバー

一言で「メンバー」と表現しましたが、管理職の方もいれば非管理職の方も存在します。経営の最前線に立つリーダーがより良い意思決定を行い、ビジョンを実現し、目標を達成するための“右腕”となる人材です。つまり「エグゼクティブを支える」という本質において、様々なポジションが存在するということです。

さて、秘書に目を向けてみましょう。秘書はエグゼクティブサポート人材に該当する人材でしょうか? 

日本企業における「秘書」の役割は、非常に曖昧です。秘書は、スケジュール管理や来客対応を行う「事務サポート役」「事務処理をする人」として認識されています。しかし本来、秘書の役割はそれにとどまりません。

4〜5年前から、日本を代表する大企業が「今の秘書業務のままでいいのか」「秘書の役割を再定義する必要があるのではないか」と声を上げ始め、AI技術の加速度的な進化により「秘書の専門職化」に向けた取り組みが、本格的に始まりました。

さらに、日本版ジョブ型雇用人材マネジメントへの移行が拍車をかけ、「秘書の専門職化」による「人事制度改革」にも及んでいます。日本の秘書の歴史上「初めて」のことであり、大きな転換期にあたります。

日本企業では、1月から2月にかけて役員人事が決まります。それに伴い、2月から3月にかけて秘書の配置転換が行われ、4月1日から新体制のもと新しい期を迎えます。

1月から3月にかけて、それぞれの企業様の動向を確認しながら、次年度のコンサルティングプランをつくる時期にあたります。私にとって、大変ではありますが、最もやりがいのあるエクサイティングな時期とも言えるかもしれません。

4月に入ると、4週目に「Administrative Professionals Week(秘書ウィーク)」を、そして、4週目の水曜日に「Administrative Professionals Day(秘書の日)」を迎えます。

毎年、この週が終わる頃、ホッと安堵し、1月から4月までをゆっくり振り返ることができます。そして、ゴールデンウィーク明けから、いよいよプランの開始です。

先週、長いお付き合いのある某企業の秘書室長と会食をしました。毎年、多角的な観点かつ驚異的なスピードで「秘書の改革」をされています。まさに、大企業における「次世代型秘書室モデル」、もっと言うと「次世代型エグゼクティブサポート組織モデル」と言えるのではないかと思うほど大きな変容を遂げていらっしゃいました。

エグゼクティブが本来の仕事に集中できるために、エグゼクティブサポート人材をどのように配置すればいいのか。

これは、どの企業・組織にとっても永遠のテーマではないでしょうか。

著者プロフィール

エグゼクティブサポート代表:能町 光香(のうまち みつか)|人材育成・組織開発コンサルタントの「エグゼクティブサポート」

エグゼクティブサポート代表

能町 光香(のうまち みつか)

⻘山学院大学、クイーンズランド大学、京都大学大学院卒業。商社勤務後、シーメンス人事部を経て留学。その後10年間、外資系企業でエグゼクティブ・アシスタント兼通訳者として経営層を補佐。2012年に独立し「日本秘書アカデミー」を設立。秘書育成と経営支援の実績を活かし、組織開発・人材育成コンサルティングを展開。2025年より「エグゼクティブサポート」として経営層の包括支援を行う。

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