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エグサポナレッジ

「秘書 x AI」 が切り拓く未来

AIの進化により、様々な職種において変化の真っ只中にあります。
資料作成、情報収集、メールの下書き、議事録の作成 ——これらはすでにAIによって効率化され、場合によっては人よりも速く、正確に処理されるようになりました。

この状況から、「秘書の仕事はAIに奪われるのではないか」という議論がされてきました。秘書職が、今後無くなるであろうトップ5にランクしたことも少なくありません。

しかし、この問いは本質を捉えていません。特に日本社会では、事務職と秘書職の棲み分けが非常に曖昧なため、より一層誤解が生じているように思います。

AIは、秘書という仕事の”構造”を分解する

AIは、秘書の仕事を奪う存在ではありません。むしろ、これまで曖昧に一括りにされてきた秘書という仕事の“構造”を分解します。それにより、。スケジュール調整や資料作成、情報整理といった定型業務はAIへ移行し、一方で、優先順位の判断や関係性の調整、意思決定を支える思考といった領域は人に残ります。

だからこそ今、問われているのは「何を業務として行うのか」ではなく、「何を担う存在なのか」です。秘書職を「業務」で定義するのか、それとも「役割」「機能」で定義するのか。

この違いが、AI時代における秘書の価値を決定づける分岐点になります。

これまで多くの秘書室長は秘書の方々とお会いしてきて思うことがあります。それは、秘書検定のテキストに示されている「業務」「タスク」を行う人を、職業としての「秘書」と分類している傾向が非常に強いということです。

秘書がAIを本格的に活用し始めると、「業務」や「タスク」にどんな変化が起きるのでしょうか。

定型業務はAIへ。
判断を伴う業務は人へ。

例えば、スケジュール調整や情報整理といった業務はAIが担うようになり、一方で、誰と誰をつなぐべきか、どの情報を優先すべきか、どのタイミングで動くべきかといった判断は、人間に委ねられます。

AIによって削ぎ落とされるのは、秘書の「本質」ではありません。むしろ、本来秘書が担うべきではなかった業務なのかもしれない、そう考えてみることも必要です。アンコンシャス・バイアスに気づく時になるかもしれません。

先日、東京に引き続き大阪で「秘書のためのAI活用術セミナー(入門編)」が開催され、意欲と感度の高い秘書の皆様にお集まり頂きました。効果的なAIプロンプトの入力の仕方を学んだ後、秘書業務の中の1つの業務を取り上げ、実際にAIプロンプトを入力し、どんな結果が出たのかをペア・チームで、そして、全体で共有しました。

お互い知らない受講者が集うチームでスタートしましたが、午後には笑い声が聞こえてくるほど楽しくプロンプトを入力し、ワークをされているのが印象的でした。プロンプトを入力して結果を見てという流れを一人で行なっているよりも、ペアやチームで行なったほうが断然楽しく、気づきや学びが大きいものだとあらためて実感しました。

「プロンプトの入れ方によって、こんなに結果・アウトプットが違うなんて・・・」

という感想が最も多く、その他にも「これまで時間をかけていたことにもう時間をかけなくてよくなる」「秘書業務に活用すると言うのは、こういうことだったのかと理解できた」など様々な感想が寄せられました。

受講生の方の中には、まだ社内ではAI活用が進んでおらず、プライベートでは使っていても職場では使っていないという方もいれば、一方で、何かあったらすぐにCopilotやChatGPTに聞くという習慣が身についている方もいらっしゃいましたが、効果的なプロンプトの入力の仕方を覚えて実際に入力することで、新たな秘書業務のやり方を身につけられたことでしょう。

AIは、秘書職を次のステージに引き上げる起点になる

秘書業務に効果的にAIを活用したい場合、質問事項をそのまま入力するのと、ある法則で入力するのとでは、受け取る結果・アウトプットに大きな差が生じます。秘書として自身の時間の効率を考えるのであれば、なるべく短時間で、より欲しい結果を入手するのが得策であるのは言うまでもありません。

AI・ジョブ型時代、秘書には「AIリテラシー」が求められます。

「秘書はAIに仕事を奪われる存在ではなく、AIを活用する側になるのですよ」とこれまでお伝えし続けてきました。秘書の効果的なAI活用により、時間のかかるルーティン業務から解放され、時間を取り戻すことができます。

AIは、皆さんの良きパートナーです。ぜひ、プロンプトを効果的に入力する方法を学び、良きAIパートナーに育ててみてください。

2026年4月より、企業様向け、団体様向け「秘書のためのAIリテラシー研修」を開始いたします。社内の秘書の皆様が集まり、チームに分かれて、プロンプトを入力するというプロセスをぜひ経験していただければと思います。

AIを上手に活用することで、秘書業務の効率化がグンと進みます。AIを上手く活用して、まず「秘書としての時間」を生み出しましょう。そして、その余白時間を使って「経営層に目を向ける時間」を増やし、経営層への「補佐の”質”」を高めていきましょう。

著者プロフィール

エグゼクティブサポート代表:能町 光香(のうまち みつか)|人材育成・組織開発コンサルタントの「エグゼクティブサポート」

エグゼクティブサポート代表

能町 光香(のうまち みつか)

⻘山学院大学、クイーンズランド大学、京都大学大学院卒業。商社勤務後、シーメンス人事部を経て留学。その後10年間、外資系企業でエグゼクティブ・アシスタント兼通訳者として経営層を補佐。2012年に独立し「日本秘書アカデミー」を設立。秘書育成と経営支援の実績を活かし、組織開発・人材育成コンサルティングを展開。2025年より「エグゼクティブサポート」として経営層の包括支援を行う。

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