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エグサポナレッジ

秘書の仕事の価値とは 〜 秘書は事務的補助職?? 

「AI時代、秘書の仕事はどうなるのですか?」

「ジョブ型人事制度の要素が入ってくると、秘書の役割はどう変わるのですか?」

「事務的な仕事はAIが担う中、事務職と秘書職の違いは何ですか?」

この半年間、上記のようなご質問やご相談が多かったように思います。

日本社会では事務職と秘書職の違い曖昧であり、秘書職には、「事務的補助」「役員のお世話係」「気配りの仕事」といったイメージが強く、実際、多くの企業において秘書はスケジュール調整や来客対応、資料準備などの業務を中心に担っており、その役割は“補助的なもの”として理解されてきました。

「兼務秘書」という名称がつくられ、長きにわたりその名称が広く使われてきていることを考えると、一目瞭然です。

しかし、企業経営を取り巻く環境が大きく変化している現在、この認識は見直されるべき時期に来ています。

秘書は、補助役なのでしょうか、それとも、補佐役なのでしょうか。

ジョブ型人事方針の浸透、人的資本経営への注目、そしてAIによる業務構造の変化により、企業は「どの職務がどのような価値を生むのか」を明確にする必要に迫られています。

今後、秘書職はどのような価値を生むのでしょうか

AI・ジョブ型時代において、「一般職」という枠組みに留まる秘書という職種として、また、これまでと同じような役割を担う補助職として秘書職を捉えるのならば、人材にとって、また、組織にとって、大きな機会損失になると考えています。

より高い価値を発揮できる秘書の潜在的能力と可能性

秘書は、単なる事務的補助役ではありません。

役員の意思決定を支え、情報の質を高め、社内外の関係性を円滑にし、組織のリスクを未然に察知する。こうした機能を担う高度支援職は、経営のスピードや精度に直接影響を与えます。

私が勤務した外資系企業(ジョブ型雇用制度)では、アシスタント職において異なるレベルが設定されていました。入社時に明らかにされ、秘書の成長ステップ、秘書のキャリアパスが明確です。

また、秘書の最高峰であるExecutive Assistantという経営支援専門職はもちろんのこと、さらに、最終的にはChief of Staffといった役員レベルに匹敵するキャリアパスまで描かれている企業も存りました。

高度アシスタント職は「誰もができる職種ではない」という認識が経営層や人事部にあるため、私が退職する際、後任のエグゼクティブアシスタント人材の選抜に長い時間と多額の費用を費やし、優秀な人材を採用したいという意気込みが強く感じられました。

なぜそこまでするのか — その理由は明らかです。

社長や役員にとって、優秀な人材がアシスタントに働いてもらった方が、自身のパフォーマンスを高めることができるからです。(言い換えると、社長や役員がストレスが少なく、安心して仕事ができるからです)

一方、日本ではメンバーシップ型雇用の影響が強いため、外資系企業の様子とは異なり、職務定義が曖昧なまま配置されるケースが多く見られます。その結果、秘書業務は個人の経験や上司との関係性に依存しやすく、属人化が進みます。

目標設定基準や評価基準も曖昧になり、キャリアパスが見えにくくなるため、優秀な人材ほど秘書職を選ばなくなるという状況も生まれています。

実際に、数年前からこんな相談を受けることが急に増えました。

「秘書として働きたいという社員がいない」「若手社員が秘書をやりたがらない」「うちの会社の秘書職は魅力的ではない」「秘書になったらキャリアを積めないと思われている」

つまり、「秘書の成り手がいない」という深刻な状況にあるのです。

加えて、AIやデジタル技術の進展により、定型的な事務作業は今後さらに自動化されていきます。スケジュール管理、文書作成、情報整理といった業務の一部はすでにAIが担えるようになっています。

この変化は、秘書という仕事の価値を下げるものなのでしょうか?

そうではありません。むしろ、人間にしかできない領域は何なのか、が問われており―― 例えば、情報の編集、意思決定支援、信頼関係構築、状況察知といった、より高度な業務が、これまで以上に必要になることを意味しています。

だからこそ、今必要なのは、秘書という仕事そのものの再定義です。

秘書の「役割」を定義し、職務として明確にし、その上で、目標設定・評価・育成体系を整える。

そうすることで、秘書は旧来の補助職としてではなく、時代に応じた高度支援職として組織の価値を高める存在になります。

これは秘書個人のキャリアの問題にとどまらず、経営層のパフォーマンスの向上、ひいては、日本企業の経営力や組織の生産性にも間接的に関わるテーマではないでしょうか。

秘書の役割の再定義とは、単なる呼称変更でも職種改革でもありません。

それは、経営層を支える人材のあり方・役割・業務を再設計する取り組みです。

日々、管理職の方々とやりとりをすることが多いですが、今、管理職の皆様に求められていることは、「秘書の価値を正しく位置づける」ことだとお伝えしています。

まさに日本社会における秘書人材の活用を大きく変える転換点であり、今、その過渡期の真っ只中にあると言えます。

ワクワクしますね!

大きなうねりの中、その波にどのように乗っていくのか、10年後の秘書職は、企業により大きく異なっていることでしょう。その分かれ目が、まさに、今(この数年間)です。

これまでの秘書職の役割や業務内容の「延長」として進めていくのか、それとも、ゼロから見直していくのか。

この違いは、一粒の水滴がやがて大河になるように、本当に大きな違いになる、とあらためて強く思いました。

御社では、他部署の社員が「秘書として働いてみたい!」と思ってもらえる職種でしょうか?

ジョブ型人事方針が公表され、ハイブリッド型人事制度への移行が進む中、御社では秘書の役割をどのように進化させていくのでしょうか。

企業と働く人双方にとって、秘書職が「価値ある職務」として設計されることを願っています。

著者プロフィール

エグゼクティブサポート代表:能町 光香(のうまち みつか)|人材育成・組織開発コンサルタントの「エグゼクティブサポート」

エグゼクティブサポート代表

能町 光香(のうまち みつか)

⻘山学院大学、クイーンズランド大学、京都大学大学院卒業。商社勤務後、シーメンス人事部を経て留学。その後10年間、外資系企業でエグゼクティブ・アシスタント兼通訳者として経営層を補佐。2012年に独立し「日本秘書アカデミー」を設立。秘書育成と経営支援の実績を活かし、組織開発・人材育成コンサルティングを展開。2025年より「エグゼクティブサポート」として経営層の包括支援を行う。

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